銀行がまもなく個人向けにトークン化預金を提供するということか?
リリースにそうした記載はない。利用者はAnt Internationalとその傘下事業で、個人利用者への言及はない。確認できるのは企業財務での利用だけである。
なぜまずシンガポールとマレーシアなのか?
リリースは理由を説明していない。確認できるのは、これが開始時の回廊で、当初の通貨がシンガポールドルと米ドルであることだ。地域展開の第一歩と言うのは推測であり、その後のスケジュールは公表されていない。
2026年10月7日、シンガポールのOCBCはAnt Internationalと、シンガポールとマレーシア間のグループ内資金移動向けにトークン化預金ソリューションを開始すると発表した。OCBCは、このソリューションでAnt Internationalと協業する最初の銀行だと述べている。
OCBCのリリースによれば、Ant Internationalは24時間体制でトークン化預金を動かし、傘下の事業体間の財務取引をほぼリアルタイムで決済できる。主な用途はグループ内流動性の移動と運転資本管理の改善である。当初はシンガポールドルと米ドル建てのトークン化預金に対応し、Ant InternationalのWhaleRTP(リリースではブロックチェーン基盤のホールセール決済プラットフォームと説明)を通じて提供され、OCBCのブロックチェーン機能が支える。使用するブロックチェーン名は明記されておらず、取引量、上限、スケジュールも公表されていない。
第一に、利用者は同一グループ内の事業体であり、対外決済ではなく企業の内部財務である。第二に、ステーブルコインではなく銀行負債型のトークン化預金を使っており、お金は銀行預金のままで、動かし方だけが変わる。第三に、短期間で三つ目の関連する動きである。リリースによれば、OCBCは2026年9月にシティバンクとSwiftの台帳上で東南アジア初の越境米ドル・トークン化預金取引を完了し、他の地場銀行2行とシンガポールドルの国内トークン化預金取引も完了した。
最終決済がどう行われるか、どの許可型ブロックチェーンを使うか、規模はどれほどか、Ant International以外の法人顧客が使うかは、リリースに書かれていない。両社は2024年11月にトークン化預金に関する戦略的提携を発表しており、今回はそのソリューションの開始である。「ほぼリアルタイム」は、本サイトが定義する決済のファイナリティと同じではなく、法的にいつ支払いが確定するかも示されていない。
現時点では一般の預金に直接の影響はない。対象は大企業の内部財務である。ただし方向性は示している。預金を台帳に載せる最初の実用例は、リテール向け投資商品ではなく、時間帯と通貨をまたぐ企業の資金移動だという点である。越境で働く、あるいは越境ビジネスを営むなら、取引銀行が24時間の資金移動サービスを提供するかを確認し、支払いがいつ法的に確定するかを尋ねておくとよい。